.

2013/10/07

ゆったりと喫煙しよう、思考するために・・・





タバコのパッケージに書かれる警告文を見る度に、
従来の美学が終焉を迎えている事を知る。
しかし、喫煙が20世紀の科学技術や芸術文化の発展を
思考や情操などの側面から支えてきたことは
何人も否定しないだろう。
社会的な喫煙に対する嫌悪、それは新しい時代への序章なのだ。
消え行く喫煙文化、まさに消滅の美学と言える。

このブログは”Painting & Poetry"に綴った
パイプ喫煙だけを纏めた喫煙室。
"Yesterday was Beautiful" 昨日は美しかった。
ゆったりと喫煙しよう、思考するために





ブライト・ヴァージニアが教えてくれる「粋」。





パイプ煙草は、紙巻タバコやシガーに比べて安価である。
1日6ボールとヘビーに喫煙しても約18グラム。
この特に安価な50g入り10袋で約1ヶ月は過ごせる。

しかし、若い人達にパイプ喫煙なんて勧めない。
クラシックにもなり得ない
ただ古いだけで珍しい一昔前のクルマに関わるように
手間隙が掛かるだけの嗜好だから。



喫煙による害をタバコの缶や袋に
日本語で印刷されたタバコは絶対に買わないが、
このタバコだけは例外だ。

1957年以来、世界中で愛されて来た古典的タバコ、
デンマーク・マックバレンのヴァージニアNo.1
3大陸から12種の違ったブライトヴァージニア葉だけを
結合させてブレンドしたと書かれている。
Mac Baren Official Siteのレーティング1〜5では、
Strength: 2  Flavor: 2  Room Note: 2

一見、ごく普通のシンプルでマイルドなタバコ。
飾りっ気の無いパッケージ。
それは、洗練された「粋」をさり気なく醸し出している
ヴァージニア葉が持つ微かな甘さの中に隠された
深い味わいが、それを私に悟らせる。


Ready Rubbedと呼ばれるタバコ葉のカットは、
このヴァージニアNo.1で始めて知った。
パイプに詰め易く火の管理も楽で無雑作に喫煙出来る。
いつもパイプに詰めてぺぺと森を歩く。

フレーク煙草をカットした木屑の様なReady Rubbed。

”Ready Rubbed”は、タバコ葉の大きなブロックを圧縮して数週間保存し、
この様なスライス機でカットされたタバコを意味する。


タバコのカット方法はパイプ喫煙の重要ポイント。
香味と喫味の持続、順調な燃焼性が
カット方法により変わり、それぞれの製品の特長となる。


カットとブレンドの組合わせは無限にあるが、
ドイツDTM社のサンプル。



2013/10/04

この様な雰囲気でパイプ喫煙を楽しみたい。





以前、理髪組合のために描いたポスター用イラストに、
遊びで喫煙パイプを描き加えてみた。
道路では歩行禁煙、許されません。解っています。
理髪店の看板は消し喫煙場所に移動しました。





2013/10/01

好きなタバコとの出逢いは恋に堕ちる時の様だ・・・



大阪・枚方市のタバコ店イクタカさん(リンク)から届いたパイプ煙草

葉巻と同じ様に上質の西洋杉を使った木箱、
パイプ煙草では珍しい。

憧れのベントレー4.5ブロアーを描いた
1995年ヴェトロモンターニャの古いポスター
Design & illustration: K.Keiji


いつも始めて喫煙するタバコは私をドキドキさせる。
恋が始まる時のように
名前やパッケージを見た瞬間、何かが私と通い合って
やがて、恋が終わるように醒めていく・・・

約1ヶ月分程度のタバコを購入する時、
いつも、試しにと余分に1つ付け加えているのだが、
それが、必ず私のお気に入りになってしまう。

ポーチ入りタバコが欲しくて試した
"W.O. Larsen The Master's Blend" Sweet Aromatic
とても気に入ったので今回は10袋購入した。
そして、試しに加えたのは"Bentley Twenty Five"と
有名な"Mac Baren Virginia No.1"。


英国のJohn May氏の愛車Bentley 4.5 blower
操縦席で説明を受けている私。
John May氏は格式の高い英国”Bentley Drivers Club”のメンバー。
「いずれベントレーを所有しなさい」と言って、
会員バッジと革製のブックマーカーを下さった。

バッジのBentley Markは現在のマークとは違い
戦前の羽根の左右が短い由緒正しいマークである。


名車ベントレーと同じ名を持つタバコとなると、
クラシックカー愛好家としては見逃せない。
パイプ煙草なのに葉巻の様な木箱に入っているのが珍しい。
喫煙のためでは無く、木箱が欲しくて買った。

何故 "Bentley Twenty Five" かと調べたら
ベントレーの煙草喫煙具でのロイヤリティを持つ
ドイツのシュスター社のベントレータバコ発売25周年
記念するブレンド名だった。
ベントレーを所有して、このタバコを愛煙していると
野暮で滑稽になってしまうが、
所有する財力も無い私なら許されるだろう。
しかし、所有も出来ずに憧れるだけで
その名のタバコを喫煙するなんて私の誇りが許さない。

マックバレンのヴァージニア No.1は、
ゴールデン バージニア葉への憧れからだったが、
届いてすぐに喫煙し、とても魅せられてしまった。
ポーチに書かれている英文の説明書きに従って
スローにクールスモーキングすると、
Ready Rubbed blendされたヴァージニアが
タバコらしい甘さを醸し出して実に旨い

ただ、シールでは無く印刷された日本語の
「肺癌、心筋梗塞、脳卒中」の文字が雰囲気を壊す。
シールは絵具筆洗い用アルコールで丁寧に剥がし、
パッケージデザインの雰囲気を楽しんでいるが
印刷されたパッケージはどうしようも無い。
世界的な健康志向と美意識の欠如には呆れ果てる。
いずれ、放射能レベルも表記されるのだろう。




2013/09/25

スズメバチと愛犬にパイプ喫煙を邪魔されて。




ぺぺはパイプ喫煙をオヤツと勘違いしている様だ。
喫煙を始めると私が美味しいものを食べていると思うのか、
お座りし哀願の眼を向けて、私にも下さいと強請る。
確かにパイプ煙草は良い芳香が漂うから、
私が喫煙を始めると敏感な嗅覚が鋭く反応するのだろう。
どんなに爆睡していても飛び起きて側に来る。


ぺぺが7才の誕生祝いに貰った犬用ガムの葉巻、
シガーを捩った名「チューガー」を思い出すのかも知れない。
あの頃の私は葉巻だったがぺぺは反応しなかった。
ただ、このチューガーを欲しがっただけだ。
煙草の香りよりもパイプが旨そうな骨に見えるのかも知れない。
パイプの型ちをした犬用ガムは無いか探してみよう。
アメリカには葉巻が有るのだからパイプも有りそうだ。
確かに、パイプをくわえた犬の写真は多い。



まだ、パイプ煙草の香りを花粉の香りと混同して
襲撃して来るスズメバチに悩まされているが、
ぺぺの哀願の眼にも翻弄されている。
秋と言うのに、
静かに喫煙も楽しめない日々である。


2013/08/17

画家ハンマースホイの描く部屋に漂う様な香り・・・W.O.Larsen "The Master's Blend"




タバコ店イクタカさんから届いた2種のポーチ入りタバコと
お気に入りのPeterson Special 2013 Reserve4缶
品切れ前の最後の2缶を取置きして貰っていたKohlhase Pipe 66

Planta Golden Vanillaに印刷された
"Rauchen kann tödlich sein"「喫煙は致命的」の文字は
致命的なデザイン破壊。
ドイツの美学・バウハウスの伝統も致命的だ。

"W.O.Larsen The Master's Blend"
Hand picked mature Virginia, aged Burley,
mellow Black Cavendish added vanilla
and fruity flavours for a sweet aroma.
Body: 2 Aromatic: 4 Room note: 3

気持ちが悪くなる様な甘い言葉が並んでいるが、
パイプタバコの甘さは蜂蜜の様な一般概念の甘さでは無い。
それは紫煙に香る微かな甘さを意味する。

熟したピーチをバターに解かした様な香りが漂う
ピーターソン 2013 スペシャル リザーブ。
食前酒キール ロワイアルやデザートのババロアに香る
クレーム ド カシスの様なパイプ66。

これまでタバコ缶のデザインに興味があったので
ポーチに入ったタバコを無視していたが、
2種の50gポーチ入りタバコを試しに購入してみた。

"W.O.Larsen The Master's Blend (Sweet Aromatic)"
"Planta (Delicious) Golden Vanilla Mixture"

バニラが微かに香り気持ち良く燃焼して白い灰になる
ゴールデン バニラ ミクスチャーも好みだが、
ラールセン ザ マスターズ ブレンドがとても気に入った。

ラールセン特有の物静かで気品を感じる芳香
それは、同じデンマークの画家ハンマースホイ(リンク)
が描く部屋に音も無く漂う気体を想わせる。
熟練職人達の手による伝統的な調合を意味する言葉、
ザ マスターズ ブレンドと明記するに価する
完成された大人の味わいだ。


私の好みは日に日に変化して行く。
あれほど魅了されたラタキアが調合されたタバコ缶は、
今では保存庫の中で眠ったままだ・・・




2013/07/20

”La rebelion de las masas”「大衆の反逆」






今回の参議院選挙。結果は予想出来たとは言え、
これ程までに酷い結果とは思いもし無かった。

スペインの哲学者ホセ・オルテガ・イ・ガセト(リンク)の著書
”La rebelion de las masas”「大衆の反逆」(リンク)。
1929年の本だが、それは現代の日本社会と同じ状況と言える。
オルテガの言う「高貴な生と、下等な生」の対比。
それは、理解し尽くしている概念ではあるが、
もう一度読み返して、自らを慰めたくなった。

若い頃の様に哲学書を読む気力など失っているが、
ミルヴァートンの大きなパイプにタバコ葉を一杯詰めて、
ジョセフ・ロジャースのタンパーでパイプを突いていると、
やり場の無い絶望感をクールダウンさせ、
失っていた気力を甦らせてくれるかも知れない。

2013/07/12

銀座はアイルランドの首都ダブリンが手本だった。



Overall Length: 145mm / Height: 57mm / Bowl Height: 57mm / Bowl Diameter: 45mm 
Chamber Bore: 21mm / Chamber Depth: 46mm / Weight: 70g / Filter: None



リターン・オブ・シャーロックホームズ・シリーズの
「ミルヴァートン」がロンドンから届いた。
写真で想像していた以上に軽く美しく粋なシェイプ、
そして高い品質に嬉しくなってしまった。

1987年に発表されたシャーロック ホームズ シリーズ。
その成功により追加された「シャーロック ホームズの帰還」。
このシリーズでミルヴァートンと名付けられたモデルである。
"Return of Sharlock Holmes Series"  Milverton
物語の中では悪名高い恐喝王ミルヴァートンだが、
なんと男っぽく優雅なシェイプなのだろう・・・
伝統に培われ磨かれた本物の造形とは、美とは何かを、
私に教えてくれる。


猟犬アイリッシュ・セターの魅力を知って以来、
私はアイルランドと言う国や土地柄に親しみを感じている。
ジョナサン・リチャード製のツイードの鳥打帽子。
ブッシュミルズやミドルトンのアイリッシュ・ウイスキー。
そして、ピーターソンのパイプなど、
私が愛着を感じるモノにアイルランド製品は多い。

一世を風靡したディアナ・ダービンが唄う
"The Last Rose of Summer"


アイルランドは遠い国だが、日本に近い国でもある。

小学唱歌として、子供の頃に唄った「庭の千草」の原曲は、
アイルランド民謡で、私の大好きな歌だ。
”The Last Rose of Summer"「夏の名残りのバラ」。
アイルランドの国民的詩人トーマス・ムーアの詩が好きだ。
日本の「庭の千草」は、バラでは無く白菊に変わるが、
この日本の歌詞も高潔で美しい。


初代「君が代」はアイルランド人の作曲だった。

日本の初代国歌「君が代」はアイルランド人の音楽家
ジョン・ウイリアム・フェントンによって作曲された。
1868年、明治維新の年に英国海兵 第10連隊第一大隊の
楽長として横浜に到着、翌1869年に横浜妙香寺で
薩摩藩士に軍楽伝習を開始した。
1870年10月、明治天皇が薩摩藩を始めとする4藩の
越中島操練を天覧する際、薩摩藩軍楽隊が初演奏したのが、
フェイトンが「君が代」の歌詞に曲を付けた礼式曲。
このフェイトンの「君が代」は、現在の「君が代」が
出来るまで国歌として世界に受入れられていた。

銀座の街並はアイルランドの首都ダブリンが手本だった。

1864〜1877年、アイルランドの建築技師
トーマス・ジェームズ・ウォーターズが来日し、
日本政府の委託で帝国造幣局・竹橋兵舎・銀座のレンガ街を
設計した。銀座の碁盤目状の街路やジョージアン様式の建築は、
アイルランドの首都ダブリンの建造物の影響である。

そして、
アイルランド人で日本文化を世界に紹介して下さった偉人
ラフカディオ・ハーン「小泉八雲」は言うまでも無い。


万葉時代から培った日本独自の文化を捨て去り、
西洋に追い付け追越せ、と世界の仲間入りを果たしたとは言え、
まだ、わずか120年程しか経っていない。
すべてに幼稚な日本社会の現状が納得出来る年月だ。